普通借地権

 1)普通借地権とは、借地借家法の定期借地権等(第2章第4節)とは違って

 『正当事由』制度の適用を受け、契約の更新(法定更新)が可能なものをいいます。

 *借地借家法上の借地権の対象  建物所有を目的とする地上権または土地の賃借権

 2)存続期間

   一律30年ですが、当事者の合意で30年以上にできます。
   *旧借地法(平成4年7月31日以前)では、堅固な建物か否かで存続期間が別に

     なっていますので要注意。

 3)更新期間

  ①最初の更新

    20年。ただし、当事者の合意で20年以上可能。
   *借地権消滅後に、借地権者が更新請求もしないで土地の使用を継続する場合
    借地権設定者が遅滞なく異議(正当事由が必要)を述べないときは、建物がある

    かぎり前契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます。(正当事由が

    なければ法定更新となります。)

  ②2回目以降の更新

    10年。ただし、当事者の合意で10年以上可能。

  ③ 問題点

    ・更新をしないという特約

       借地権者に不利なので無効。

    ・法定期間よりも短い更新期間

       借地権者に不利なので無効。

    ・更新料支払いの必要性

       支払いの特約があれば有効。(東京などの更新料:借地権価格の3〜5%)

    ・建物買取請求権放棄の特約

       借地権者に不利なので無効。

定期借地権

  1、 一般定期借地権

       50年以上の一定の存続期間の借地契約において、

        ① 契約更新がないこと

        ② 建物の築造(建物滅失後の再建築)による存続期間の延長がないこと

        ③ 期間満了時に借地人が借地権設定者に建物買取請求権を行使しないこと

      *書面で契約することが必要。(公正証書でなくともよい)

      *上記(①〜③)特約につき公示(登記)が必要

   2、事業用定期借地権

     1)もっぱら事業用の建物所有を目的とする借地権
       つぎの2種類があります。(平成20年1月から改正法施行)
       *公正証書による契約が必須です。

       ① 存続期間が30年以上50年未満で次の特約があるもの
          (借地借家法23条1項の規定による事業用定期借地権)

          《特約》 

          ・契約更新がないこと

          ・建物築造による存続期間の延長がないこと

          ・期間満了後に借地人が借地権設定者に建物買取請求権を行使しないこと 

       ② 存続期間が10年以上30年未満で次の規定の適用を排除するもの

           (借地借家法23条2項の規定による事業用定期借地権)

           借地借家法3条、4条、5条、6条、7条、8条、13条、18条

          *この借地権では、総期間が30年未満であるかぎり、この契約後に

           期間延長の契約、期間満了後の更新契約、期間満了の場合借地権者

           の請求による更新の合意などは可能と解されています。 

     3、建物譲渡特約付き借地権

        借地権を消滅させるため、借地権設定後30年以上経過した日に借地上の

      建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡するという特約をつけた借地権

      (普通借地権、一般定期借地権、借地借家法23条1項の規定による事業用

            定期借地権)

          *この契約は必ずしも書面を要しないことになっていますが、紛争防止のためには

       書面を作成すべきです。

     *建物譲渡特約付き借地権消滅後の建物賃借人の地位

       ・ 法定借家権の成立   

         借地人または建物賃借人が建物の使用を継続しているときは、その請求

         によって期間の定めのない賃貸借がなされたものとみなされます。

         借地人が請求した場合、借地権の残存期間があるときは残存期間を存続

         期間とする賃貸借がされたものとみなされます。

      ・ 定期建物賃貸借契約の成立

         借地権消滅後、借地権者または建物賃借人と借地権設定者との間で、その

         建物について定期建物賃貸借契約を締結したときはその定めに従うことに

         なります。

 借地上に建物がある借地人が金融機関からその建物を担保に借入をするとき、借地権付き建物として建物の担保権(抵当権)が借地権にも及んでいると考えられます。

 地代の滞納などで借地契約が解除されたりすると借地権が消滅し、建物も撤去させられます。

そうなると担保の意味がなくなります。そこで、金融機関は地主から承諾書をとり、借地権が消滅するような恐れのある事態が生じたら、地主や借地人から金融機関に通知し、借地権を保全する旨約束をさせます。

 このような承諾書による約束に反し、地主が金融機関に通知しなかったときはどうなるでしょう。それについて、最高裁は承諾書の効力を認め、地主の損害賠償請求を一定限度で認めました(2010/9/9)。今後、借地権を担保とした融資は変わっていくでしょう。承諾書を出すについて

地主側の対応も変わるでしょう。

  建物買取請求権が発生する場合

  1)借地契約の更新の際、地主に正当事由があり、更新拒絶をした場合

  2)土地の賃貸借契約において、借地人(賃借人)が借地上の建物を第三者に売却した

    場合、地主が借地権の第三者への譲渡・転貸を認めなかった場合

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