五木寛之さんの『下山の思想』という本が売れているそうです。買って読みました。
日本はピークを過ぎた今、登山のことだけでなく下山のことを考え、精神的なゆとりをもって生きようという
メッセージだと受け取りました。確かに、かつては世界第2位の経済大国になり、世界からその経済力を
絶賛されました。いまや、それは遠い昔の話になりました。とくに中国、インド、ブラジルなどが躍進した結果です。コストの違い、為替の違い、豊富な労働力などの理由から必然的にそうなりました。考えてみれば、中国には15億人以上の人間と日本の20倍以上の国土があります。次はインドが中国を抜くかもしれません。わずか1億2千万人しかいない島国日本がよくぞこれまで頑張ったと思うべきです。
経済規模だけでなく、国民一人あたりの所得はとっくにシンガポールに追い越されています。
これからは、経済規模や所得のみを基準に考えないほうがいいでしょう。いや、それどころではないところ
まで追い込まれています。国家そのものの存立が危ぶまれています。税収よりも借金(国債発行額)が多く
しかも税収のほとんどが社会保障費(年金、医療費など)に回されているというのは異常です。
さらに国民の多くが悩みを持ち、年間3万人以上が自殺している状況が12年以上続いています。統計に出ていないケースを入れるとこの数字を相当上回るのではないかといわれています。最近は、GNH国民総幸福量 Gross National Happiness といわれる新たな尺度が話題になっています。ある調査では、デンマークが世界一とのことです(日本は90位)。少なくとも、生活が普通にでき、孤独死や自殺がないような社会にならないと幸福な社会とはいえないでしょう。 (2012/02/23)