食品リサイクル法

 
 

1. 食品廃棄物(食品残渣)と動植物残渣

   堆肥化する対象となる廃棄物については、廃棄物処理法と食品リサイクル法
  では法律の目的が異なるため、捉え方が異なる。
  以下の通り、両者はイコールではない。

  1)食品廃棄物等(食品リサイクル法)
     食品の売れ残りや食べ残しにより、または食品の製造・加工・調理の
     過程で副次的に得られた物品のうち、食用にできないもの。液状のも
     の(廃食用油)や有価物も含む。
     廃棄物処理法の廃棄物(=汚物又は不要物)とは必ずしも一致しない。

  2)動植物残渣(廃棄物処理法)
     産廃と一廃両方にまたがる。
     ①産廃の場合・・食料品製造業・飲料飼料有機質肥料製造業医薬品製
                造業 、香料製造業において生ずる動物性または植物
                性の残渣(事業系のみ)

     ②一廃の場合・・上記以外から発生した残渣(事業系。家庭系)

     *有価物は含まれない。有価物のように装った場合は廃棄物 (=汚物
      又は不要物)と判断される(総合判断説:判例で定着)


2.廃棄物の(中間)処理と再生利用
   廃棄物の側面からみれば、再生利用も中間処理(処分)の一つ。

   廃棄物の中間処理・・・堆肥化、焼却など(安定化、安全化、減容化)                  
   再生利用(食品リサイクル法)・・・① 食品循環資源を                 
                    ② 自らまたは他人に委託して
                    ③ 肥料・飼料などの製品の原材料
                      として利用すること
   ∴ 堆肥化=再生利用

   しかし、再生利用≠堆肥化(再生利用=堆肥化、飼料化、油脂 還元など)


3.動植物残渣に関係する法令と適用の是非
   廃棄物処理法・・・廃棄物として処理( 収集運搬、保管積替、中間処理、
              最終処分 )する以上当然適用される。

   食品リサイクル法・・・食品残渣等の食品循環資源 ( 食品廃棄物であっ
              て、肥料飼料等の原材料となるなど有用なもの)を
              処理する廃棄物処理業者だからといって無条件に
              この法律が適用されるわけではない。 この法律の
              主な適用対象は 、食品関連事業者 ( 製造、流通、
              外食など)である。 廃棄物処理業者の場合は再生
              利用事業者登録をしたり、再生事業計画制度の認
              定を受けたりすれば適用される。(食品リサイクル
              をするために必ずこの制度を利用しなければなら
              ないわけではない。任意の制度である。産廃の堆
              肥化処理するとしても 、産廃処分業許可しか持っ
              ていない業者もありうる 。 また1日5トン未満の処
              理能力しかなければ、再生利用事業者登録をした
              くともできない産廃中間処理業者もいる。

   肥料取締法・・・肥料( 普通肥料、特殊肥料 )を製造したり,他人に譲渡

                        (有償・無償不問)したりするには届出をしなければならな

                         い 。 しかし、食品リサイクル法にもとづき、堆肥化・飼料

                         化の目的で再生利用事業者登録をすればこれらの法律

                        による届出が一部免除される。(二重の手続を防止するた

                         め)

4.食品リサイクル法の再生利用事業者登録のメリット
   この登録制度(廃棄物処理法などに基づく許可では対応できない部分を補っ
   ている。   

  1)廃棄物処理法の特例
     ① 荷卸しに関する一般廃棄物収集運搬業許可の不要

     *荷卸地以外の市町村から発生する 一廃としての食品残渣を荷卸
      地である市の一廃収集運搬業許可がなくとも、荷卸地のある市内

      の登録再生利用工場に搬入できる。ただし、発生地の一廃収集運
      搬業許可は持っていなければならない。
      なお、産廃の場合は、受入施設のある自治体 (例、埼玉県の収集
      運搬業許可が必要。
     ②一般廃棄物処分手数料の上限規制の特例

  2)肥料取締法・飼料安全法の特例
     農林水産大臣への届出不要
     *実質的には、再生利用事業者登録申請において肥料・飼料の審査 
      が行われる。



5.関係法令相互の関係と許認可   

  1)廃棄物処理法 
     産廃・・・産廃処分業(14条)許可)(埼玉県知事)
     一廃・・・一廃処分業(7条)許可)(処分場が所在する市の市長)
          一廃収集運搬業(7条)許可)(     同上     )
          *いずれも処分場が所在する市が必要性を認めなければ

           許可を受けられない。
          一廃処理施設設置許可(8条)(埼玉県)
          *5トン超/日の処理能力の場合、一般廃棄物処理施設(廃棄
           物処理法8条の特定施設)となり、特別の手続(ミニアセスメン
           ト、建築基準法51条但書許可とそれに伴う深谷市 ・埼玉県双
           方の都市計画審議会の可決)が必要となる。


  2)食品リサイクル法
     再生利用事業者登録(堆肥化などのリサイクル。熱回収も可)
 登録するための処理能力 : 最小でも5トン以上/日必要。   

   

 

 1.自動車リサイクル法と廃棄物処理法の関係      
   自動車リサイクル法は、廃棄物処理法の特別法とでも言うべきものです。その結果、自
  動車リサイクル法で定めていない事項については、廃棄物処理法の適用があります。 つ
  まり、廃自動車は廃棄物であることに変わりがなく、廃棄物処理法とは深い関わりがありま
  す。  

   1)自動車リサイクル法が適用されない場合は,廃棄物処理法が適

    用されます。
   2)すべての車両が 、自動車リサイクル法の対象となるわけではありません。   

   (たとえば、二輪車などは対象外である。)自動車リサイクル法

    の対象とならない自動車の処理(収集運搬,保管積替,中間処

    理)は従来どおり廃棄物処理法の許可が必要となります。

  3)自動車リサイクル法の対象となる車両は、関わりかたによって、

    下記のような許認可が必要となります 。自動車リサイクル法に

    もとづくこれらの許認可を持っていないと 廃棄物処理法の許可

    (中間処理,保管積替)をもっていても違法となります。 逆にいう

    と自動車リサイクル法にもとづくこれらの許認可を持っていれば、

    廃棄物処理法の許可(中間処理,保管積替)は不要となります。

    この場合、廃棄物処理法の許可(中間処理,保管積替)は不要です。

ただし、二輪車など自動車リサイクル法の対象とならない廃車を扱う場合        
 上記の通り、廃棄物処理法の許可(中間処理,保管積替 )がないと違法    
 となるので注意が必要です。
          
 どんな廃車も自由にかつ合法的に扱うためには、廃棄物処理法と   
 自動車リサ
イクル法双方の許認可が必要となります。

 

2.施行時期     
   
自動車リサイクル法関連の許可・登録関係 : 平成16年7月   
    廃自動車の電子マニフェスト制度 : 平成16年12月

 

3.自動車リサイクル法の対象となる廃自動車   
    次の対象外自動車を除くすべての廃自動車(廃自動車のすべてが自動車リサイクル  
   法の対象になるわけではありません。したがって、産業廃棄物収集運搬業や処分業の   
   許可が必要な場合も残ります。)               

    自動車リサイクル法の対象外の車両 :

      ①     被牽引車   
      
②     二輪車(原動機つき自転車、側車付きを含む。)    
      
③     特殊自動車(大型,小型)    
      
④     その他政令で定めるもの(例、農業機械,林業機械,   
          スノーモービル,自動車メーカーの試作車など)    
      
⑤     対象となる車両でも、保冷貨物自動車の冷蔵装置,   
         コンクリートミキサー
トラッククレーン等取り外し   
         て再度使用する架装物                   
   

     *使用済自動車は、金銭的価値の有無にかかわらず,廃棄物として扱われる。        
      (中古自動車としての引取,販売は使用済み自動車になりません。)

 

4.自動車リサイクル法の許認可の種類 

    ①引取業者・・・・・・・・登録(都道府県,政令都市。有効期間:5年)

    ②フロン回収業者・・・・・登録(同上)

    ③解体業者・・・・・・・・許可(同上)

    ④破砕(圧縮,切断)業者 ・・許可

  なお、上記の業者が自ら廃車を運搬するには、何の許可も要りませんが、他社の廃車を   

    運搬する場合は、従来どおり産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。   

 

 

 
        

           再生事業者登録とは

 

廃棄物再生事業者登録とは

 再生のために「古紙の梱包」,「金属くずの選別・加工」,「空きびんの選別」,「古繊維の

裁断」 等を行う事業者についての登録です。 ここに挙げた例は、例示的なものであり、こ

れに限定はされません。

 登録は、任意です。再生施設のある都道府県単位の登録です。

 

処理業との関係

 再生事業者登録をしたからといって、 専ら物以外の他人の廃棄物を受け入れることはで

ません。 専ら物以外の他人の廃棄物も受け入れるためには、廃棄物処理業(中間処理)

の許可が必要になります。 そのため、自治体によっては、廃棄物処理業 (中間処理)の許可

がない業者には、再生事業者登録を認めていないところがあります。

 

登録のメリット

 廃棄物再生事業者登録業者の呼称を名乗れることと、廃棄物のリサイクルを一所懸命

指している業者であろうという評価を得やすいというメリットがあります。


 また、千葉県や埼玉県のように、再生事業者登録を受けた業者へ搬入する場合は、県外

廃棄物搬入事前協議が不要になる場合があります。

 

登録の対象

  廃棄物の再生を業として営んでいる者で、下記の事業を営んでいる者

  1)古紙の再生を行なう事業者

  2)金属くずの再生を行なう事業者

  3)空き瓶の再生を行なう事業者

  4)古繊維の再生を行なう事業者

  5)その他の廃棄物の再生を行なう事業者

登録の基準

   各自治体で違うのが困るところです。

   例えば、「古紙の再生」について、手作業による選別・梱包でよいとする

  自治体と、「選別ライン及び圧縮機の設置」が必要とする自治体があります。

  「廃棄物の再生を業として営んでいる者」の基準にしても、概ね一年以上

  の再生実績を求めますが、これが半年だったり、事業場を開設してすぐ

  に登録できる場合もあります。事前の確認が必要です。

業許可その他許認可との関係

  1)産廃又は一廃の中間処理業許可(廃掃法7条及び14条)

    上記5)の「その他の廃棄物」は、「専ら物以外の物で再生可能な物」で

   す。がれき類、木くず、汚泥、廃プラスチック類などで登録する例が見られ

   ます。「専ら物」ではないため、 業許可を得た事業者でないと登録ができ

   ません。自治体によっては「専ら物」でも業許可を求めます。

  2)廃棄物処理施設設置許可(廃掃法8条及び15条)

    例えば、「専ら物」でも一般廃棄物であれば、1日の処理能力が5t以上

    ある施設の場合、8条許可(一般廃棄物処理施設設置許可)が必要です 

    案外見逃されやすいところですので、ご注意ください。

 

        特定再生資源の保管許可制度

 

 

 

 

埼玉県や茨城県、千葉市、袖ヶ浦市にも同様の条例が制定

 

 次の特定再生資源の屋外保管には千葉県の許可が必要になります。(廃棄物は対象外)(罰則:懲役や罰金)

  ・使用を終了し収集された金属またはプラスチックが使用されている製品
  ・製品の製造や加工等の過程で生じた金属又はプラスチックの端材等(雑品スクラップ)

 条例の施行は、令和6年4月1日です。すいでに特定再生資源屋外保管業を行っている事業者(例、産廃の処分業や保管積替業を行っている業者など)は、1年間の猶予があり、令和7年3月31日までに許可を取得すればよいことになっています。